私はまた飛び降りる【完】

目覚め /記憶





────────……







「……」



凍ってしまったように冷たく、感覚がない目蓋を震わせながら抉じ開ける。

視界に映るのは、闇色の空と、私を覗き込む澄んだ瞳。



瞳の持ち主は、目を醒ました私に静かな声でゆっくりと囁く。




「……雪城、澪……?」




白い息と共に吐き、冷たい空気に吸い込まれて消えるその名。

私は、彼を見つめたまま、乾燥しきった唇を開く。



「……う、ん……」

「……そう。じゃあ、僕が誰だか……分かる?」



夜の空と同じくらい深く濃い髪を持つ彼が、私の頬をその手で暖めながら問う。

瞳の奥で揺れる不安と悲しげ、そして愛しさを、私はすごく懐かしいと思った。



貴方は……




「……山吹……誘……」






雪城澪が、恋した人。

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