失恋記念日【完】

救い

開いたエレベーターから下りると、ホールで待ち合わせやソファーに座って話をしている沢山の見知らぬ人達。


少し立ち止まって、出入口へ向かって歩き出した。




回転式の扉にたどり着く前に、─ドンっと肩に衝撃が走る。


立ち止まって振り返る。


スーツを着た、頭が薄くて小太りな中年の男の人と、通り過ぎる時に目があった気がした。





その流し目のような目つきに、何だかゾッとした。


足下にヒラッと何かが落ちて、拾い上げる。


手にしてみると、カードキーだった。


自分の服の胸ポケットに慌てて手を入れ、持っていることを確認し、




「あの、」

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