失恋記念日【完】

未来へ


…よくわからない状況のまま、流されるように車に乗せられ、そのまま空港へ下り立つ。


旅行の時とは違う、それぞれの便の受付ではなく個室へと案内された。親戚の結婚式で訪れた待合室のような大きな部屋。備え付けられた高価そうなソファー、テーブル。


扉の外と中で、宰相の周囲に常時数名いるSPらしき人達。


…あの人の周囲にもいた。そういえば、あの人にどうしてSPがついていたのだろう。


そういった重要な役職に就いているのだろうか。随分と若いのに…。


少しおっとりした雰囲気の人でも、仕事になれば別人になるような人もいる。肝心な話は何もしていない。あの人の傍にいると全てがどうでもよくなってしまう。


ただ、甥御さんだからたまたま日本という異国に来て守られてただけだろうか。…もしかしてあの人のお父さんが凄い人だったりするのかもしれない。


すぐに搭乗手続きになり、荷物検査を無事終え、用意されていた飛行機へ導かれた。


全く知らない国の飛行機。私が一緒に乗っていいのかと、目の前の飛行機を見上げて急に躊躇われた。


そんな私を見越したのか、タラップの途中で宰相は手招きする。


止まっていた足を動かした。


──前へ、進もう。

  • しおりをはさむ
  • 153
  • 14927
/ 345ページ
このページを編集する