失恋記念日【完】

現実

実家が目につくと、さらに寒さが身にしみる。


太陽が雲間に消えると、飲み込まれそうな影が忍び寄る。




コートの前をきゅっと握り締め、下りたばかりの駅へ向かった。


…せめてもの慰めは、いつも私が着る服装じゃないってことだけ。


それがほんの少し、…自分が自分じゃないと思わせてくれる。


痛々しい現実から逃避させてくれる。


私の服達は、処分されたのだろうか。ゴミ箱にもどこにも見当たらなかったのに…。





すれ違う人達の手に時折持たれている、夜の食卓を彩る豪華な食事や飲み物の入った紙袋。


ディスカウントされたクリスマスケーキ。


何事があってもなくても、終わっていく1年に1度のイベント。


去年は両親が旅行でいなかったから、実家で要と2人きりで過ごせたんだ。

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