冷たい獣【完】

17

傾いた西日に包まれる部屋。


当然のようにそこにいる人物に目を奪われていた。


…どうして。


私に気付いて、車椅子がキィーと音を立てる。


ベッドの上で身動ぎしない鷹峰さんはまだ眠っているのだろうか。


琉聖さんの膝の上の手が、私を手招きする。


ゆっくり近付いて行こうとする足先は震えてしまう。


その私から目を離さずにいる黒色の瞳は、目の前に立つと黒橡くろつるばみ色に変化する。


垂れ目気味なその目は、私を見て嬉しそうに細められる。


「何時間、鷹に抱かれてたんだ?」


表情とは無縁で、言葉には冷たい響きだけが残る。

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