出会い系サイトの彼女。【完】

闇 /夢の中の女

店長が薄い頭を何度も撫でながら「困るよ」「困るよ」と独り言のように呟くのを、俺は黙って聞いていた。


クリスマスムード一色の明るい店内とは裏腹に、事務室の空気は重かった。


「今日で辞めさせてください」と言ったのは、ついさっきのことだ。

携帯電話を壊した翌日――つまり今日、23日の昼間にコンビニまで出向いた。

店長の連絡先を知りたかっただけだったけれど、運がいいのか店長がいたのだ。



「いや、困る。困るよ」

店長は泣きそうな顔で俺を見る。

「どうしたの?この間、僕が言ったことが気に障ったのかな…」

「……違います。本当に、違うんです」

店長の悲しげな瞳を見るのは辛かった。目をなるべく合わせないように下を向く。

「シフトのことかな…。本当に、佐藤君にいなくなられたら困るんだよ。
教えてくれないかな。僕ができる範囲でなんとかしたいんだ」

「………すいません」







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