出会い系サイトの彼女。【完】

闇 /勘違い

バン、と大きな音を立てて事務室のドアを開けた瞬間


「――――ッ痛っ!!」


ドア越しにいたらしい佐伯が呻いた。


「なんすか、もお!!」

額を抑えながら、佐伯が口を尖らす。目は涙目だ。

だけど俺は、それどころじゃなかった。


冷や汗でシャツの背中が濡れている。

無意識のうちに佐伯の肩をつかんで揺すっていた。


「今の、今ここに伊藤さん来ただろ!なにしてた!?」




佐伯は気味悪そうに一歩下がって、俺のうでを払った。

「知らないっすよ…。俺、冷蔵室いましたもん」


冷蔵室は、事務室の脇にある。

店内から見るとジュース類の入ってる冷蔵棚の真後ろに、この細長い部屋があった。



知らないって言ったって―――


俺は焦れて、唇を噛む。

なにかあるだろう。

由香はなにかしていったはずだ。









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