出会い系サイトの彼女。【完】

闇 /抜け出せない部屋

闇だ。



地図を確認していた俺はふと顔をあげ、そんなことを思った。

底知れぬ不安が、一歩踏み出すたびに重さを増して、俺の足に絡みつく。

迷路のような住宅街の路地を走りながら、まるで本当は周りの住民が皆起きていて、閉じたカーテンの隙間からじっと俺を見ている気さえした。





『幸町2-6-×× コーポ美園 104号』 


二か月前、由香を送ってここまで歩いたことを思い出す。

暗闇の中にぼんやりと白く浮かぶアパートに、あの時の面影はあまりなかった。

ずっと暗く、陰気だ。

一応、表の看板を確認する。

『空室有り』の下に、大きく『コーポ美園』と書いてあった。

ここで間違いない。


104号室は外階段の向こう、一番奥だった。

息を必死に整え、暴れまくる心臓の鼓動を抑えながら、俺はインターホンを鳴らした。

0
  • しおりをはさむ
  • 2665
  • 1186
/ 421ページ
このページを編集する