出会い系サイトの彼女。【完】

監禁 /遅すぎた気持ち

気絶していた時間は、一時間くらいだったんだろうか。


ひんやりとした畳の感触。

目覚めると、場所が移動していた。

閉じたふすまの向こうを見つめる。


さっきまで俺がいたテレビの部屋から、なつきの声が聞こえている。

俺は、ただ死んだように息をひそめて、耳をすました。



「この人さ、昔のドラマで…あれなんだっけ、二股してた男を殺す女の役やった人じゃない?」


裸の男がとなりの部屋で手錠をして転がっているというのに、なつきは楽しそうにテレビ番組の話をしている。


二人の声はほとんど一緒だけど、話し方は驚くほど似ていなかった。

なつきの話し方は明るくて、子供のように聞こえる。

対して、由香の声は、ひどくか細い。




「学校、行ってくるね」


どれくらい時間が経ったんだろう。

由香が、はじめてなつきに声をかけた。

間もなく、荷造りをする音が聞こえてくる。

ふいにテレビがぶつん、と音をたてて切れた。

切ったのはたぶん、なつきだった。




「ヒロオトモアキ」

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