出会い系サイトの彼女。【完】

加害者 /side広尾智明

授業終了一分前。



メールの着信音――『それいけアンパンマンの曲』が鳴って、講師の吉田ちゃんに怒られた。

同時にチャイムが鳴る。

へらへらと吉田ちゃんに愛想笑いをしながら、メールを開く。
文面を読んだとたん、腹の底が黒く濁った。



「昨日はぁりヵゞとぅ。+゚d(≧ω≦*)。+゚ アッキー、彼女いないとかま∪゛?」


昨夜、人数合わせで招集された飲み会で知り合った女からだった。

下ぶくれのでかい顔に、真っ白いファンデーションを厚塗りした馬鹿女。


あとほんの少し遅かったら注意されなかったのに。

顔も悪ければ空気も読めない女だと思った。



「彼女はいないんだー」


打って、絵文字もつけずに「気になる子はいるけどね♪」

わざと、そう付け足して送信した。

これでもうメールしてこないだろう。

くあ、と欠伸をして、ぽっかりと空いた隣の席を見る。


そこはいつも由香が座る席だ。

俺は、机にだらしなく突っ伏して、由香の席を左手でさわさわと撫でる。


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