出会い系サイトの彼女。【完】

殺人 /守りたいもの

玄関で物音がしたのは、部屋がすっかり暗くなった頃だった。





遮光カーテンを一日中閉めきっているために、なつきが電気をつけるまで、夕方はほとんど部屋が暗闇に包まれる。


とは言っても、大体俺たちはその時間ホラー映画を見ていたから、たいして気にも留めなかった。


由香が帰ってきたその時も、俺たちはいつものようにビデオを見ていたんだ。


違っていたのは、俺がありえないほど緊張していたこと。


映画の内容なんて、ぜんぜん頭に入っていなかった。


用もなく顔のあちこちを触ったり、貧乏ゆすりみたいに足の指を動かしたり。

夜が近づくにつれてボリュームをあげ続けていた心臓の鼓動は、


「ただいま」


の声を聞いた瞬間、メーターが振り切れた。



 

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