出会い系サイトの彼女。【完】

殺人 /戸惑い

闇の中で、枕元に置かれた携帯電話の光が、ぼんやりと俺たちを照らしている。


次の瞬間、「………うう、ん」


ふすまの向こうで、声がした。

ごろんと寝返りを打つ音が聞こえる。

耳を澄ませば、なつきの寝息すら聞こえてきそうな静けさだった。









――――――なつきを、殺す?






由香の腕の力を背中に感じながら、俺は言葉を失っていた。

俺は噛み砕くように、由香の言葉をゆっくりと反芻する。


『ここに戻ってきたのは―――なっちゃんを殺すためです』





………どうして。


「………裕さんは、なっちゃんを知らないから」


俺の胸から少しだけ体を離すと、由香は俺を見上げた。

押し殺した声はほとんど、息だけだ。

密度の濃い空気が、俺たち二人を包んでいる。

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