出会い系サイトの彼女。【完】

殺人 /侵入者

一睡もできなかった。




由香がふすまの向こうに消えた後も、仰向けで天井を見つめていた。

『頭がカラッポ』っていうのは、こういうことをいうのかな。

そんな馬鹿なことを延々考えながら。

俺はただ、目を開けていたんだ。




どのくらい経ったんだろう。

あるとき、突然。

シャ―――という音と一緒に、光が差し込んだ。

はっとして音の方を見ると、なつきがカーテンを開けたところだった。



「朝だよ!裕!」


三日月形に目を細め、口を歪めたなつきが振り返る。

だけど、俺はその表情に嫌悪感は抱いていなかった。


この顔がなつきの笑顔だってことを、俺はもう知っているから。

そう。

なつきはただ、屈託なく笑っているだけなんだ。

それを認めてしまった瞬間、胸がぎゅんと締めつけられた。


………頼む。

なつき、やめてくれ。



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