出会い系サイトの彼女。【完】

殺人 /しょうがないよ。


ハッハッハッハッハッハッハッ


時計の秒針より早く、俺は興奮した犬のように息をしていた。

どうしてどうしてどうしてどうしてどうして


いくつもの『どうして』がドンドンと心臓を叩きつける。

そのたびに体が揺れて、めまいを起こしそうだった。


目の前、1mあるかないかの距離に広尾智明がいた。

目をきょろきょろとせわしなく動かしながら、白いドアから顔とナイフを突きだしている。

奴が持っているのは大きめのサバイバルナイフ。

のこぎりのような歯まで、しっかりと見えた。


なにしにきたのか―――――なんて。

愚問すぎる。

狙いは由香だ。


……どうする。

どうしたらいい―――――――ッ痛!!?


ふいに鋭い痛みが瞳を刺して、反射的に目をつぶった。

額から滴った汗が目に入ったらしい。

それは、ほんのコンマ数秒だった。





だけど。


目を開けたとき、目の前の光景はガラリと姿を変えていた。



――――――――――あ。

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