出会い系サイトの彼女。【完】

行方 /決意

畳の部屋。
影の溜まる鏡台脇の壁にもたれて、ぼーっとしていると、ふいに首筋にひんやりとしたものを感じた。


細い指先が、さわさわと動き、間もなく金属の音がする―――カチン。

慣れた首輪の重みが、俺の首に舞い戻った。


見上げると、由香が眉を下げて俺を見つめている。

唇が、ゆっくりと動いた。

『ごめんなさい』



………だいじょうぶだよ。


俺は力なく頷いて―――


ピンポ――――ン


次の瞬間、呼吸が止まった。



「………誰だ?」


なつきが緊張感のない声で言い放ち、玄関のほうへ歩いていく。

待て!

待て、なつき!!

俺は叫ぶこともできずに目だけでなつきの背中を追った。


「どなた?」



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