出会い系サイトの彼女。【完】

一日 /交わらない想い

「いきますよー!」

 

スポーツの開会宣言のような声でなつきが鍋の蓋を開けたのは、家について二時間後のことだった。



鍋ってどうやって作るんだっけ。


突然なつきがそう言い出したせいで、なんだかんだとこんな時間になってしまったんだ。


「え? 鍋って作り方なんてあるの?」

「あるってば!!」

「いや、適当に具材入れて蓋するだけでしょ」

「あ!今、鍋を馬鹿にしたな! 鍋の神様に謝れ!」


そんな会話から作り方を巡って議論が白熱して、結局俺の「ググろう」の一言が出るまで一時間近く話していた。


やっぱ、基本は関東風でしょ。

まあ、関西風もいいかもしれないね!

最近では、イタリア風鍋っていうのもあってー。


なつきは散々熱く語っていたくせに、いざ凝ったレシピを目の前にすると、ほとんど即決で

「水炊きが一番だね!」

と言い放って台所に帰っていった。


……おい。今までの議論はなんだったんだよ。

白い目でなつきの後姿を見送ったのが、ちょうど30分くらい前のことだ。


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