出会い系サイトの彼女。【完】

一日 /好きだから

どのくらい時間が経ったんだろう。


俺の嗚咽が部屋から消えるまで。

なつきは何も言わずに、俺の背中を撫でていた。






「裕。あたしが嫌いなの?」


なつきがぽつりと天井に向かって、言葉を放った。


俺は無言で首を振る。


「……じゃあ、どうして?」


にごった澱のような沈黙。

暗闇の中で、なつきの胸がゆっくりと上下する。

俺はなつきの耳に頬をつけたまま、黙っていた。




「……由香ちゃんに言われたの?」






ズクン

心臓を鷲掴みにされる。

なつきはふうっと息を吐いて、「そっか」と小さく呟いた。

まるで、なるほどね、と言うように。


「裕。ちょっとどーいて。重いよー」



なつきが俺の体を手でつっぱねる。


慌てて脇にどけると、「よっこらしょ」と言いながら、なつきは立ち上がった。



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