出会い系サイトの彼女。【完】

なにかの見間違いだ。


虫が這うような感触が背筋を伝った。


冷や汗だった。


乱暴に服の裾で血をぬぐい、もう一度見たときには、もうメール画面は消えていた。


白いテーブル。
ピンクのカーペット。
薄紫のうさぎのぬいぐるみ。
レースの敷物を敷いた棚。


それらに点々と付着した、なつきの真っ赤な血――――――



鮮やかな色が混ざり合い、ぐんにゃりと視界を曲げていく。


どうなってる。


なにがどうなってるんだ。


生唾を飲み込むと、乾いた喉が悲鳴をあげた。


迷っている時間なんてない。


けれど、体は動かなかった。


信じたい。


どちらを?


俺はなにを迷ってる?



耳の奥で、夢の中の女の声が轟音となって聞こえていた。



『間違えないで』―――――









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