出会い系サイトの彼女。【完】

別人 /サプライズ

駅前に赤や緑の電飾がとりつけられた。

色を失っていく自然の摂理に反発するように、街には鮮やかな装飾が次々と施されていく。

クリスマスまではまだ一か月近くあるというのに、街は浮足立っていた。

俺の気持ちは憂鬱だった。

当日の予定がないことに落胆していたわけじゃない。
食えもしないクリスマスケーキを義理で予約しなきゃならないことでもない。

携帯の隅に光る緑のランプの点滅を見る。

俺は出勤前で、なつきとチャットしている途中だった。

なつきは画面の中で、昨日見た猫の死体の話を楽しそうにしている。









やめたい。






やめたいんだ、なつき。

俺はもう君と連絡をとりたくない。







その言葉は喉元まで出かけていたけれど、とうとう言えなかった。

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