狂い咲き4【完結】

~第三十五章~

その日は期待と高揚で眠れなかった。

――明日壮助と共に吉原を出る……


もう寂しい夜を迎える事はない。

一人枕を濡らす事も。

小さくなる背中を見送る事も。



横になるも目が冴えきっていたわっちは日が登り、雀の声が聞こえたと同時に起き上がった。


ゆっくりゆっくりとここで過ごした時間をかみしめる様に壮助から貰った桜色の着物に袖を通す。



――ふわり。

僅かに壮助の香りが着物から漂った気がして頬が緩んだ。


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