天帝の姫 上 【完】修正中

Impulse 衝動 /煌哉ポイント




不意に静かになった車内に聞こえてきたのは、可愛い寝息。




それと同時に、コツンと肩に当たる衝撃。




首を隣に向ければ、俺の肩に頭を預けて眠る都姫の顔が意外に近くて。





「寝てやがる。」



溜め息混じりにそう言えば、




「うわっ!寝顔可愛すぎるだろ?」


と騒ぎだした恵。





「煩いよ!降ろされたいの?」

助手席から振り向いた恭弥が、そう言って恵を睨み付けた。





「す・・・すいません。」


汐らしくなった恵。



「分かればいいんだよ。」


凍りつきそうな黒い笑みを浮かべる恭弥。




それ、怖いから。





「それにしても、俺達警戒されてないみたいだね?良いのか、悪いのか。」


はぁ・・・と都姫を見て恭弥は溜め息を吐いた。




「ああ。」


まぁ、確かに言う通りだ。



こんなに無邪気に寝るとかねぇだろ?




少しでも男として、意識されてぇ。





「お兄さんのおかげで、ある意味温室育ちだから姫は。」

恭弥の言うように兄貴が守り育ててきたのは間違いねぇ。





都姫の顔にかかっていた長い前髪を、人差し指で掬って耳にかける。





こいつは俺の悶々とした想いなんて、ちっとも分かってねぇんだろうな?




クソッ・・・俺が女の仕草一つにふりまわされてるなんて・・・。






良い笑いモノだな?





でも、こいつになら振り回されてもいいか?なんて思う俺が居る。





ゆっくりと顔を近付けて額にキスを落とす。





「うわっ!煌哉だけ狡いじゃねぇのよ。」


抗議の視線を向けてきた恵。






「チッ・・・。」


舌打ちして睨み付けた。







「ほんと、恵は分からないの?お仕置きが必要なのかな?」


口調は優しいのに背筋が寒くなる恭弥の冷たい視線に、



「ヒッ!」


と、悲鳴あげて青ざめた恵は大人しくなった。





バカだな?






俺は都姫にもう一度視線を向けてから、窓の方に顔を向けた。






伝わる寝息と温かさ。






こう言うのも悪くねぇ。





外を眺めながらほくそ笑んだ。















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