Bloody wolf(完結)

取り巻く様々な世界 /馬鹿馬鹿しい策略



『相手方と会うのは土曜日の13時に決まりました』

お祖父ちゃんの弁護士から、そんな連絡が来たのは眠気と戦う火曜日の午後。


「・・・気が重い」

会うと言ったものの、父親と会うのはやっぱり面倒だ。


「どうかしたの?」

スマホを見て溜め息をついた私を見た千里がこちらを向いた。

隣に座る彼女の膝の上には彼女の母親特製の美味しそうなお弁当が鎮座している。


「あ・・・ん。まぁ厄介事」

気だるそうにそう返せば、

「大丈夫なの?」

と心配そうな顔をされた。


「ん、なんとかなるはず」

「本当に?」

「たぶんね」

フフフと笑って手に持ってたクロワッサンをかじった。

今週の私のお気に入りはクロワッサンだ。



「んもう、他人事ね」

苦笑いされた。

「他人事なら良かったわよ」

肩を竦めて千里を見た。


あれでも、生物学上は父親なのよね。

自分達の欲のために、親になりきれなかった人。

彼が他人ならと、思わなくもない。


まぁ、グチャグチャ考えても仕方ないか。

向こうが呼び出した意図も分かってないし。

どんな話でも、父親の提案なんて受けることはない。


弁護士の話では、父親の会社の経営が行き詰まってるって事だった。

私への援助を打ち切りたいとか言う話かも知れない。


それならそれで、お祖父ちゃんが面倒を見てくれるって言ってるから、そんな問題でもないけど。



なんだか、嫌な予感がするんだよね。

私のこういう時の勘はよく当たる。



「篠宮、委員長!」

自分達を呼ぶ声に顔を向ける。

手を振りながら近付いてくるのは、爽やかな笑みを浮かべた及川君。

彼は私がウルフのメンバーになったと言っても、特に態度を変えなかった。


ウルフの体育祭襲来以来、生徒達の私を見る目が変わった。


やたらと私を敬遠してくる人、なぜか憧れた様に見つめてくる人。

一部の女子生徒はすごく分かりやすく、嫉妬や妬みの視線を向けて来る。

それでも、私に手出ししてこないのは体育祭のパフォーマンスが効いてるから。


地味な嫌がらせは無くもないけど、相手にするほどでもない。

校内にもウルフの目が光ってるって事を、戸田君達が全校生徒に示してくれてるしね。


私の周囲は意外と平和だ。

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