Bloody wolf(完結)

自覚する思い /涙の訳






ー晴成sideー


弁護士の車で送ってもらったと、溜まり場にやって来た響は今にも泣きそうな顔をしてた。

今日は遊びに来るって聞いてなかったから、遊びに来ると連絡が来て俺は浮かれた。


だけど、響のあんな顔を見たら胸が苦しくなった。

響は何も話さずに、いつも通りに俺の隣に座ってるが、何かを我慢してるような痛々しさが目に見えて分かる。



こいつを、こんな風にした奴は誰だ?

いつも以上に感情のない顔してる響が心配で堪らねぇ。


響の異変に気付いてるのは、俺だけじゃない。

秋道も豪も気付いてる。

だけど、誰一人としてそれを問いかける事をしない。


響が踏み込まれることを嫌うのを分かってるから。


話してさえくれりゃ、助けてやれんのに。

歯痒さに苦しくなる。


瑠偉や光希がいてくれりゃ、少しはこの空気も和らいだかも知れねぇのにな。

あいつら、肝心なときに出掛けてんじゃねぇよ。



「晴成、豪と少し出てきてもいいですか?」

秋道がそれとなく俺と響を2人にしようとしてくれてる。


「ああ」

と頷けば、秋道は俺に目配せしたあと、

「響さん、すみません。少し用があるので出ますね」

響に声をかけた。


「あ、そうなの?」

「ええ、一時間ほどで戻りますね」

「ん」

頷いた響は微笑む。

それがやっぱり悲しげに見えるのは俺の気のせいじゃねぇ。


「響ちゃん、お土産に森園のロールケーキ買ってくる」

豪は豪なりに響を励ましてぇんだろうな。


「ん、楽しみにしてるね」

嬉しそうに言った響に満足したらしい豪は、秋道よりも一足先に幹部室を出ていく。


「では、晴成、後をお願いします」

そう言った秋道の瞳からは、力強いオーラを感じた。


「・・・ああ」

響の事は任せとけ、その意味を込めて頷いた。

秋道はそんな俺に満足したように微笑むと、幹部室を出ていく。



2人きりになった室内。

流れる空気は悪くないのに、嫌な緊張に手汗をかいた。


どうやったら、響が素直に話してくれるだろうか。

どうやったら、こいつを苦しみから解放してやれるだろうか。


不器用すぎる自分を呪いつつも、色々と考える。




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