Bloody wolf(完結)

全てを手繰り寄せる /戻ってきた日常





退屈な授業に生欠伸を噛み殺して、机に頬杖をついたまま教壇に立つ先生をぼんやりと見つめる。

ウルフの溜まり場で晴成に勉強を教えてるせいで、寝るのがいつもより遅い日が続いてた。

言い出した限りは点数をあげてもらいたいので、ちょっと頑張ってる。

晴成も勉強についてきてくれるのでやりがいはあるけど、睡眠不足で日中眠くなるのが難点だ。



父親と本当の意味でのさよならをしたあの日、鬼神と言うチームは解散した。

あの後すぐに、あの場を去った私には彼らがどうなったのかは知るよりもない。

ただ、もう私の前に顔を見せることはないと、秋道から聞かされた。

それ以上の事は聞いてない。

私が知らなくても良い世界なんだと思ったから。



父親との件が片付いて、案外スッキリしてる。

胸の中にモヤモヤと巣くっていた思いは、今はもう消えてるし。


私って、なにげに薄情者なのかも知れないな。

それならそれでいいと思える。


あの日の翌日から私は峰岸響として行き始めた。

学校にも、他の色々な書類も全て峰岸の姓になった。


父親と縁が切れたのは、お祖父ちゃんや弁護士のお陰だと思う。

16年近く慣れ親しんだ名前だったけど、それほど未練が無かった自分に少し驚いたけれど。


晴成が言ってくれたように、名前が変わろうと私自身が変わることがないから。


平和な日常が帰ってきた。

同じサイクルで繰り返される日常も、捨てたもんじゃないのかも知れない。


晴成達と戯れるくだらない毎日が、私の日常にいつのまにか組み込まれていたのね。

あれほど、関わるのが嫌だと思ってたくせに現金な自分に少し笑みが漏れた。


あの日から数日経った今、私の周囲は少しだけ騒がしい。

鬼神との対決の噂を聞いた連中が、なぜだが好意的に近付いてくるから。

前まで妬みの視線を向けてきた女子達までもが、なぜか愛想をふってくる。

面倒臭いので、相手にはしてないけど。


やたらと周囲に人が集まってきて困ってる。

静かなのが一番なのに、騒がしくされると辟易する。



キーンコーンカーンコーン・・・チャイムが鳴る。

先生が教室を出ていくと、途端に騒がしくなった教室。


私は頬杖をついたまま窓の外へと視線を向けた。



「峰岸さん、良かったらこれ食べない?」

机に駆け寄ってきたクラスメートが何かを差し出す。

「ごめん、いい」

チラリと視線を向けてから再び窓へと顔を向ける。


もう、色々と面倒くさい。

何かと私にくれようとする人達が多すぎる。



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