Bloody wolf(完結)

気持ちに気付く時 /予期せぬ婚約者






チームウルフとの楽しかった旅行はあっという間に終わり、夏休みもお盆へと突入しようとしていた。

最近の私の日課は、幹部室で晴成達の夏休みの課題を手伝ってる事だろう。

もちろん手伝うと言っても、やり方を教えたり分からない所を説明したりしてるだけ。

基本は当人にやってもらってる。


自分の課題は夏休み前半に終わらせているので、気楽なものだ。


「響、ここが分からねぇ」

対面に座る晴成がシャーペンを片手に聞いてくる。


「ああ、ここは、この公式を利用してこうやって解けばいいのよ」

少しテーブルに身を乗り出して、晴成の開いている教科書を指差した。


「ああ、なるほど。サンキュ」

最近、晴成は真面目に勉強してくれる。

今まで分からなかった問題が簡単に解けるようになって楽しくなったみたい。


うつ向いてノートに書き込む晴成の睫毛が自棄に長いな・・・なんて思いつつ海水浴の事をぼんやり思い出す。

波打ち際で軽いキスをされた時、怒りは沸いてこなかったが、なんとも複雑な思いになった。

ドキドキして、恥ずかしいような、照れ臭いような。

それでいて、自分の奥底から沸いてきた気持ちは小さな不安で。


あの後は晴成も私も普通に過ごした。

楽しい雰囲気が壊れることも、互いに気まずい思いをすることも無かったのは良かったと思う。


晴成の事は・・・多分、恋愛感情で好きになってると思う。

でも、一歩を踏み出すまでにいってないのも間違いない。


愛されることを知らない私はきっと臆病なんだろう。

情けないぐらいに人からの思いを信じきれない私は、どこか心に欠陥があるのかもしれない。


晴成はいつだって真っ直ぐに私を見てくれている。

それを分かっていても、失う怖さが私を動かさない。


初めのうちは愛し愛されたとしても、うちの両親みたいに憎しみ合うようになるかも。

そう思うと怖くて・・・怖くて仕方ない。


晴成とならば、そんなことにならないと分かっているのに。

それでも、私は自分の心を認めてあげる事が出来ないでいた。


いつまでも、晴成を待たせたままなんてダメよね。

はぁ・・・申し訳なさに溜め息が落ちた。







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