Bloody wolf(完結)

流れの大きさと覚悟 /すれ違う思い

ー晴成sideー




「そうね、そうかもね」

響の言葉が頭の中をグルグル回った。


慌てて響を呼び止めようと名前を呼んだけど、響は振り返ってくれなくて。

幹部室のドアが閉まった後、俺はそれを見つめながら自分の顔が赤くなってくのを感じた。


顔を引き締めねぇといけないと思っても、緩むそれは俺の意思には従ってくれなくて。


秋道達のニヤけた視線から顔を隠すように掌で覆った。


ドキドキだか、キュンキュンだか、よく分からねぇ感情に支配される。


うわ・・・マジ。

響が、俺を意識してるとかって・・・。


「良かったですね」

「やっとじゃね」

「やったね」

「晴成のそんな顔初めて見た」

秋道が微笑み、瑠偉がピースして、光希が笑い、豪が真面目な顔をした。

生暖かい目付きのみんなに、俺はどうしていいのか分からずに、思わず立ち上がる。


「・・・いや、その」

アタフタした俺はきっとなんとも言えない顔をしてたに違いない。




「晴成、興奮するのは分かりますが、一先ず落ち着いてからの方がいいと思いますよ」

秋道の正論に頷いて、俺は再びソファーに沈み込む。


「そうそう、今、響ちゃんを追い掛けたら、そのまま襲いそうな顔してるもんな、晴成」

ニヤニヤしながら瑠偉が言う。

「う、うっせぇ」

睨み付けても、瑠偉はヘラヘラしてて。


「これから時間はたっぷりあるよ」

ね? と笑う光希にゆっくり頷いた。


そうだな、俺達の時間はこれから沢山ある。

今すぐ行って、確かめたいけど。

でも、今じゃなくても、きっといいんだ。


それに、今の俺の置かれた状態じゃ響を危ないことに巻き込みかねない。

冷静になって、考えれば分かることだな。


あの女の事をとっとと片付けねぇと。

響を奴らの悪意に曝すわけにはいかねぇ。



「ああ。危険を無くしてからじゃねぇと響を側におけねぇな」

鋭い視線を空に刺す。


俺の世界に巻き込むのは、今じゃねぇ。

そりゃ、ゆくゆくは同じ世界に生きてほしい。

だけど、今じゃねぇんだ。


気持ちを固める。

響の側にいられるように、俺は俺の出来ることをやろう。

その為に、必要なことは何でもやってやる。






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