ヒヤシンス 【 完 】

参 /傷み ( 千歳side )





「千歳、食べないの?」

ベッドにうずくまったままの私に

ようちゃんの声が聞こえた。

「ん、いらない」

「もう2日も食べてないよ」

食欲がないし、
何もいまは胃に入らない 。

「千歳の好きな蜜柑ゼリーだよ?」

ご機嫌とりなんてしないでほしい。
私は子どもじゃない 。

それに、蜜柑ゼリーはもう好きじゃない。

ママが…
あの頃、いつも買ってきてくれていた。

だから、好きだった 。

意味がわからないと思われるかもだけど、

ママが買ってきてくれていたから
好きだったんだ 。


「じゃあ、
俺に抱かれるのとゼリー食べるか選んで 」

勢いよく起き上がる 。

「ゼ、ゼリー食べる !」

ようちゃんは一瞬悲しそうに笑ったけど、

優しく笑った 。

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