狂愛【完結】

情報屋【烏の子】 /チャラ男の哀しい過去

side ゆいか




「・・・・・・・は?」




柊光樹の困惑した声が、シンとしたダンスフロアに響き渡った。



「・・・はぁ。」



毎度思うけど、私の旦那さん、ちょっとズレてる。


困惑している柊光樹を訝しげに見る奏は、再び口を開く。



「だから、俺の嫁がダチを作りてえのにお前が邪魔だった。
だからわざわざ俺が出張ってやったんだ。
じゃないとこんなちまいチーム潰すのに、俺自ら出向くワケねえだろ。」


なに言ってんだとでも言いたげな表情の奏を、口を開けて見ていた柊光樹は、ガックリとうなだれた後肩を震わせだした。



「クックックッ・・・ハハハハッ!!」


突然上を向いて笑い出した柊光樹に、奏は眉間に皺を寄せる。


「・・・何が可笑しい。」


低く唸る奏に、笑いすぎで出た生理的な涙を指で拭いながら、柊光樹は口を開いた。


「あんたに唯一無二の女ができたと聞いてはいたが、ここまでとは。それで?俺が邪魔ってことは、そのダチってのは咲のことか?」


「・・・ああ。」


奏の返事に、柊光樹は満足げに一つ頷いた。


「・・・そうか、・・・・そっか。」



切なそうに言う柊光樹からは、もう絶望しか感じない。


それが、奏の出会う前の自分と重なって、私の目から涙がこぼれた。


奏は私の様子に気付いて、此方へ歩いてくると、そっと私をその大きな体に包む。



そして柊光樹にこう言い放った。


「俺の妻の目覚めがわりいから、死ぬことは許可しねえ。
西に話を付けている。傘下の下っ端としてな。
ムショを出たら西へ行け。そして二度と戻ってくるな。」



奏の言葉に、光樹は目を見開いた。


「・・・俺を西に?」


「ああ。柊ではどうか知らねえが、お前は優秀な人間だよ。
西でなら柊なんて意識すらされねえ。龍綺(たつき)も目を付けてたんだと。どうせ柊に捨てられたんだ。西に拾って貰え。」


奏のその言葉に、柊光樹は顔をクシャリと歪め、深く頭を下げた。



彼からは、気持ちの悪い感じはしなかった。


私が感じたものは・・・そう、




「・・・フザケんじゃないわよ。」


彼女、明里さん、だ。



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