狂愛【完結】

抗争 /隣の席の彼女


あの後、送ってもらった蓮とお兄ちゃんにお礼を言って、相変わらず睨んでくる受付嬢に苦笑いを返し、社員証を見せて社長室を目指す。


私を迎えたのは、眉を下げた私の秘書、結城陸さん(ゆうきりく)と、社長室から締め出されたらしき困り顔の隼人。


彼らにめちゃくちゃ喜ばれて、一人、社長室へ入る。


「奏。ただいま!」


「・・・ああ。おかえり。」



大きな革張りの椅子に座って眉間に皺を寄せ、大量の書類に目を通していた奏は、私の挨拶に頬を緩める。


私は奏のいる重厚な机の周りをゆっくりと回り込み、イスを回してこちらに向き直った奏の長い足の間に立つ。


見下ろした奏は、嬉しそうに頬を緩め、先ほどまでの重苦しい、イライラした様子は皆無。

私だけに見せる、奏の緩んだ表情に、愛おしさがこみ上げた。


奏の頬に手を滑らせると、安心したように目を閉じる。



私だけに従順な虎は、更に私をその腕の中で溺れさせる。


奏の頭を抱きしめれば、腰に回る大きな腕。


私の胸に顔を埋めた奏は、安心した様にため息を付いた。



「・・・エッチ。」


「フッ、今更だな。」



そう言って顔を上げた奏に、小さくキスを落とした。


「・・・お昼食べれる?」


「・・・ん。」


私の頭を撫でる奏に聞くと、短く返事が帰ってきた。


それを確認して内線を押す。


『・・・はい。』


「隼人?ごめん、お弁当持ってきてくれる?」


『ホッ・・・はいはーい。』


内線が切れると同時にかと思うくらいのタイミングで、社長室の扉が開いて、ニコニコ顔の隼人と結城さんがお弁当を持って入ってきた。

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