狂愛【完結】

日常生活 /弘人と咲

コンコン・・・


「はい。」


『失礼いたします。田島様と真島様をお連れ致しました。』


「通してください。」


『失礼いたします。』


ガチャリと扉が開く音と共に入ってきたのは、笑顔を張り付けた隼人&弘人。


「ゆいかちゃ~ん!よく気付いたねぇ?」


そう言って首をコテンと傾けた弘人は、迷わずに私の隣に腰掛ける。


「本当だよね。俺、まだまだだなぁ・・・」


そう言いながらもさり気なく真琴の隣に腰掛けた隼人に口を開いた。


「偶然だけどね。下着屋の外の路地裏でナンパされてたでしょ?
視界の端に写ったからね。」


笑みを深めた私に、弘人が無邪気な笑顔を向ける。


「今日は顔なじみの子猫ちゃんもいたんだよねぇ。つい話し込んじゃったせいかな?具合がいい子でさぁ、むげには「弘人?卑猥な話はいらないから、余ったデザート食べてくれる?」」


「・・・へーい。いただきます。」


私の極寒の笑みに気付いた弘人は不服そうにデザートを口に運ぶ。


「うわっ、これ旨いっ!」


「でしょ?奏が注文してくれたの!」



私の満面の笑みに、弘人も優しく微笑んで答えた。


「さすが奏だね?ゆいかちゃんが幸せそうで、俺も嬉しい。」


そう言った弘人はおいしそうにケーキを口に入れたけど、正面に目をやると、不愉快そうに顔を歪めた。


その目線の先には、悲しそうに瞳を揺らす、咲さん。


「弘人。私のお友達なの。そろそろ、やめて。」


これから長い間付き合っていくメンバーだからこそ、一部の人間関係に綻びがあってはいけないと思う。


弘人は私に言われると、口を尖らせる。


「・・・分かってるよ。嫌いな訳じゃないし。ちょっとどう扱って良いか分かんないんだ。」



そう呟いた弘人は、シュンとうなだれる。


そんな弘人は捨てられた犬の様で。


私は弘人の頭を撫でた。


「大丈夫。まずは威嚇を止めるとこから初めてみて?」


私がそう言うと、弘人は瞳を揺らしながらもぎこちなく頷いた。

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