狂愛【完結】

抗争 /柊光樹

「ちょっと、顔貸してよ。」


今日の護衛は氷上くん。


講義の合間に、トイレに行きたいということで、次の場所に移動したあと、彼が席を立った瞬間だった。


話しかけてきたのは、この間のチャラい集団。


顎で外を示す彼女に、私の眉間の皺が濃くなる。



「貸す顔はありません。他を当たってください。」


そう言い捨てた私は、ノートに再び目を通す。


「っっ、ちょっと!バカにしてんの!?」


声を張り上げた彼女に気付いた生徒たちは、ヒソヒソと此方を伺っては何か話している。



氷上くんが帰って来るまでに、時間を稼がないと。


着いて行ったら、100%良いことにはならない。


「・・・あなたを知らないのに、バカに出来るわけないじゃないですか。」


ため息を吐く私を彼女は嘲笑して口を開いた。


「ウチが【陰】のメンバーだって知らないんだぁ?白虎の金魚の糞さん?」


陰と言うワードに、隣の彼女は肩を強ばらせ、私は更に眉間に皺を寄せた。それに・・・


「金魚の糞?」


私が白虎に付き纏ってるってことだろうか?


訝しげに目の前のケバい人を見つめる私に、彼女は勝ち誇った笑みを浮かべる。


「そうよ、金魚の糞。調べたら、白虎には今姫はいない。
それでもあんたが彼らといるってことは、付き纏ってるってことでしょ?違う?」


「・・・違いますね。」


冷静に返す私に、反論が帰ってくるとは思わなかったらしき彼女は、面食らっている。


「じゃ、じゃあ説明しなさいよ!何で彼らといるのか!」


絶叫に近い声を張り上げる彼女の背後で、地を這うような低い声が聞こえてきた。


「・・・何してる。」


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