狂愛【完結】

龍綺の危機 /西の残党


「龍綺が撃たれた。」



奏が険しい顔でそう言ったのはもう年をとっくに越して、2月に入った頃のこと。


7ヶ月に入った私は大きくなってきたお腹に触れながら不安を隠せなかった。


「・・・容態は?」


奏が撃たれた時の事を思い出す。


奏の虚ろな目。口から流れる赤い血。


強さ溢れる奏の顔を、一瞬で生気の無い顔に変えた。


震える私を正面から包んだ奏は、私の背中をさする。


「大丈夫だ。心臓を掠ったらしくてな。
かなり危なかったらしいが、今は一命を取り留めてる。」


「・・・そっか。あの、さ?」


「ん?」


「お見舞い、行けるかな?」


「あ゛?」


「本家にはちょっと行けないけど・・・
今は病院なんでしょ?」


「なんでお前が行くんだよ。」


ふてくされる奏に、クスリと笑みが漏れた。


「違う。真琴を連れて行くの。」


「はぁ?」


「・・・西に危険はある?」


「・・・いや、犯人は翠が捕まえたらしいからな。前組長の残党だと。
だがまだ残党がいるらしいぞ?
あぶねえからダメだ。」


確かに私たちが西へ行けば、東西に迷惑がかかる。


でも・・・



私は唇をグッと噛んだ。

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