狂愛【完結】



弾ける笑顔で尻尾を振りながらゆいかさんにすり寄る姿はまさに犬だ。


総長になった白石には、以前とは比べようもないくらい女が寄ってくる様になった。


女嫌いの白石には、かなりのストレスなようだった。


就任直後はやはりTOPが様変わりした白虎を潰そうと襲ってくる族が多かった。


連日の喧嘩がやっと落ち着いて来た頃の、女・女・女。


大学でも同じ科の女に紹介しろと言われたしな。


一度繁華街で女に囲まれる白石を見たが・・・


ありゃ閻魔だな、閻魔。


女をぶっ叩きそうな雰囲気に、副長の三井がかなり焦ってた。


目の前にいる口を開けたトマト野郎は、そん時の面影もない。


視線の先には・・・


黒猫を抱いた色魔がいた。



黒シャツにスエットの奏さんが、黒猫テイストのモコモコパジャマを着たゆいかさんを何故か姫抱っこで風呂から出てきたところだった。


奏さんはそのままの足で冷蔵庫へ向かう。


中から水を取り出し、いつものソファーへ腰掛け、ゆいかさんを足の間におさめると、無言で水を差し出した。


「・・・ありがと。」


ゆいかさんは勢いよく水を飲み出した。


白石が真っ赤な顔のまま、揺れるゆいかさんの喉元を凝視している。


・・・蓮さんも。


水を3分の1飲むと、奏さんに渡しながらゆいかさんが俺たちに向かってはにかんだ。


「長話してたら逆上せちゃって。」


「お前早く言えよな。アブねえだろが。」


ゆいかさんに貰った水を飲み終わった先代が不機嫌そうに言う。


「ふふ、ごめん。」


なんだか嬉しそうなゆいかさんは、風呂前の不安そうな表情がすっかり抜け落ちていて。

風呂でのスキンシップも、この2人には必要なもので、先代はそれを分かった上で風呂に入ったらしいということだけは見て取れた。


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