狂愛【完結】

東対西 /龍綺の選択

side 龍綺


「・・・で?君は結局帰って来てしもうたんか?」


「・・・はい。」


目の前の無表情な翠を見て、ため息をついた。


「あのなぁ、君が帰って来たら・・・」


「私への危険が増す、とおっしゃりたいのでしょう?」


被せるように言った翠に、曖昧に頷いた。


東へ翠をやったのはそのためやった。


真琴の警備は厳重で、翠自身を守ることにもなる。


僕と翠が一緒にいれば、狙われやすくなるのは必然だった。


それに・・・


数日前に僕宛にメールが届いた。


それはロシアからで。


『息子のアンドロを返さなければ潰す。』


と書いてあった。


アンドロなんてハイカラな名前の子ぉは知らん。


あの子は【翠】や。


僕の弟であり、無二の側近。


彼の父親の財閥は、ちぃと大きい。


潰そうと思えば本当に潰されるやろ。


「・・・奏様が。」


物思いにフケっていた僕の思考は、翠の嬉しそうな声音によって遮断された。


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