支配者【完】

沖田家 /お兄様

side 雫



「俺がいるんだからお前は不要だ。出ていけ。」


そんな言葉で、目をうっすらと開けた。


どうやらベッドの上にいるらしい私の視界には、私をジッと見つめる、蒼の目が映る。


「いいか、雫は俺の妻だ。お前のじゃない。」


声の主は、私のすぐ真上で何かに対してそんな、憮然とした声を出していた。


「犬のくせに、狗神に逆らうのか。」

どうやら彼は、蒼に対して文句を言っているらしい。


「雫が気に入っているから放っておいているが、用なしになったらすぐにお前を排除してやる。」

「っっ、」


突然の残酷な言葉を聞いて、思わず息を呑んだ。

「雫?」

そんな私に気が付いたのか、玲の優しい言葉が降ってくる。それに肩を震わせた私の震えを止めるように、玲の大きな手が、私の肩をさすった。


「冗談だ。仲はいいぞ。なぁ?犬。」

「……。」


小バカにしたようなその声音は、どう考えても真実を伝えてはいない気がする。


蒼もそんな玲を目を細めて見ていて、2人の間にまた独特の空気が流れた。


「フフッ、」

思わず、噴いてしまって。

「フフフッ、」


さっきまでは恐くて仕方がなかったのに。分かってしまった。

この2人はきっと、似ている。蒼が人間なら、親友にだってなったかもしれない。


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