支配者【完】

沖田家 /大学

side 雫



『望めば、叶えよう。』


そう言った玲の言葉でどうやら、お兄さまは良い縁談相手に恵まれるようだった。


本当に、何をしに来たのか。理想の縁談相手が欲しいなんて…それを叶えてくれるらしい玲には謝るしかない。


でも、私が手を振れば、お兄さまは笑顔で振り返してくれた。

これまであまり、踏み込めなかった距離。

それに片足を踏み出したような気分だった。



お兄さまが帰って、玲が仕事に行ってしまって。私はまた、部屋に1人になった。

だけど。お兄さまに会えたからか、発作が起こりかけたというのに、気分が良い。



「失礼。よろしいですか?」

「あ、はい。」

返事をして部屋の襖が開かれ、姿を現したのは、久しぶりに見る村上さんだった。


「お久しぶりですね。」

「……ええ。」



久しぶり、というのも変な気がする。見ていないのは、ここ数日だけだったから。


なんだか、痩せた気がするのは気のせいだろうか?そう思うほど、村上さんは顔色が悪かった。


すると突然、村上さんは膝を畳につけた。


「え?」

俯いたまま、膝の上に手を乗せて。そんな土下座のような恰好にオロオロとしてしまう。

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