支配者【完】

神の正体 /悲しみ

side 雫


「玲?」


目覚めれば、ベッドに一人きり。名前を呼んでみても、姿を現さなかった。


玲には謎が多い。時折、こうして突然いなくなってしまう。


神という存在は、そんなに突然、呼び出されることが多いのだろうか?そう思って首を横に振った。

そんなはずはない。

玲という神は、加護を求める人間の前には出ない。


恐らく今、大学で私と一緒に講義を受けている自体が異常なこと。

全ては神のペースに人が合わせている。


そんな玲が突然呼び出されることなんてあるはずがない。それならば…玲自らがどこかへと行っている?


自分しかいないベッドで目覚めるのは少なくはない。それを寂しいと感じてしまうのは、私が思い上がっている証拠。


玲に対して文句を言ったり、寂しく思ったり。一歩踏みこんだこの感情は、こんな私が感じていいものなのかどうか…、


「はぁ、」


ため息を付けば、玲の温もりを補うように、蒼がベッドにふわりと乗って私に身を寄せる。


ふわふわの毛が頬に当たって口元が緩んだ。


玲がいる時は蒼がいないのに、蒼がいる時は玲がいる。一緒にいるところを見たことがあるのになんだか、玲と蒼が同じものに見えた。

私を見る目が”似ている”せいだろうか。

優しい、目だ。


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