支配者【完】

神の正体 /人

side 玲



「なぜ、こんな事を?」



俺を責めるようにそう言ったのは、雫の専属医、桐生だった。


「なぜとは?」


煙管から吸う格別な煙をマズくしようとしているのか、桐生は無礼にも腕を組み、俺を睨み付けている。


家の専属医では絶対にしない言動だ。不快ではあるがどこか、心地よい。


「この人は、闇を見てはいけない。」


そう言った桐生は、慈愛に満ちた目を俺の懐で眠っている雫へと向けた。


情事後、俺の攻めに陥落した雫が落ちた。俺の太ももを枕に寝る、なんて”進んだ”ことをしているのにも気付かず、すやすやと寝息をたてている。


そんな雫の寝顔を拝めかつ、欲を吐き出したあとの独特の心地よい倦怠感もある。気分はいいはずなのに、桐生の不快な発言のせいで、煙管を口に運ぶ頻度が増える。



「……闇、ね。」


地平への命令で、雫に起こったことは全て、記録させている。桐生にそれを閲覧する権利を与えたのも、雫の病気の為だった。


恐らく桐生が俺を責めているのは、この間の件。




くだらない人間に穢される前に、雫に現実を見させた愚かな母上が来た日のことだろう。


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