支配者【完】

神の正体 /言葉の影響

side 海渡


少々、変化があった。




「海渡さん、おはようございます。」

「……おはようございます、玲様、雫様。」

「……。」



雫様はある時から、私たち従者を下の名前で呼ぶようになった。これまでの彼女からは想像できない行動に出たのはきっと、先代が大きく影響しているに違いない。


朗らかな笑顔を俺に向ける雫様は、先代がいらしてからなんだか少し、晴れやかな表情浮かべている時がある。


今まで、つっかえていた何かがやっと取れた、そんな感じだ。


”記録”を読んで、あの部屋でのやり取りは知っている。しかしこの現象を呼び起こす原因となる事は起きていないように思う。


失礼ながら、先代の雫様への態度は愚行でしかなく、雫様を悲しませることしかしていない。


先代の排除命令が出かけた程だ。


何かをふっきるきっかけが、雫様にあった。そうだとは思うが、記録からはなにもつかめなかった。


ただ、俺が読んだその資料には、神の記述が抜けている。玲様が何を言い、何をしたのか、それは定かじゃなかった。



「今日の、予定を、」

「大学の後ですか?」


雫様の問いかけに頷いたはいいが、体が硬直して動かなかった。



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