支配者【完】

覚醒 /目覚めた気持ち

side 玲


「っっ、」


雫の中に俺の匂いを放てば、ビクビクと痙攣するそこは甘く、俺を締め付ける。



性を放つ瞬間、その女に自分を刻みつけている感じがして、俺の支配欲を満たしてくれる。


雫の全ては俺に支配され、心もそれは、変わらず。


それでも雫は俺に、人間たちのようにされるがままにはならない。


気持ちを吐露した雫の表情は、甘い言葉とは裏腹に絶望を表していて。


そこで初めて、雫自身の気持ちには触れてはいけなかったのだと悟った。



無理矢理言ったわけでもないように思う。しかし俺のように、温かい気持ちで言ったそれとも違う。



俺を見ること、想うことができなかった環境で育った雫の境遇は今、自分の心をまっすぐに見ることすら禁ずる。



肩で息をする雫を正面から抱きしめれば、棚に背を預けていた雫は体勢が悪いせいか縋るように俺を抱きしめ返してくる。


ほこり臭く汚いこの空間で、美しい雫は涙しながら何度も言い続けている。


「ごめんなさい、愛しているんです。」と。



胸を張って、気持ちを言えた霧と、それすら許されなかった雫。


そんな雫に気持ちを求めた俺は、罪深い。



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