支配者【完】

覚醒 /秘密

side 海渡



「玲は、何をしているんですか?」

「え?」

講義中。雫様は声を潜め、前を向いたままそう聞いた。


突然の質問に、何を答えるべきかも分からない俺を見ると、困ったように笑った。


「まさか”神様”だけじゃないですよね?」

「……。」


神様というフレーズが少し軽く感じたのは、雫様がそこまで真剣に聞いているようには感じなかったからだった。

いや、真剣といえば真剣なんだが…


「……。」


黙り込んでしまった彼女を見れば、俺がここで答えるとは思っていなかったようだった。



そのまま講義に集中しだした彼女は、俺に質問したというより自分の疑問をただ口にした、という表現の方が正しいように思う。



やはり、気付いていたのだろう。


願いを叶える相手を選ぶ神、そして、その願いは巨大な財力や目に見えない力で叶えられている。


魔法が普通に存在する世界ならまだしも、全ての願いを叶えるその力はどこから湧き出ているのか。


『神だから。』という言葉で納得がいくほど、雫様はバカではない。



感じていた違和感。それを彼女はこれまで、病気と慣れない神の妻としての自分に精一杯で、考える時間がなかった。


0
  • しおりをはさむ
  • 6480
  • 11192
/ 494ページ
このページを編集する