支配者【完】

神で支配者 /正体不明の男

side 霧


「霧、酒は?」

「あるわけがないでしょう?」


私の返答が気に入らなかったのか、舌打ちをしてソファーに体を投げ出した男。


真っ黒な髪、だけどその目の色は玲様と同じ。纏う雰囲気も似ていて、タバコを吸いながら黙り込んでいるその顔は、玲様を感じさせた。


「買って来いよ。」

「……。」


物凄く偉そうなこの男。私のこの住まいに、いつの間にか居ついた。



『何してんの?』


そんな、ありがちな声のかけ方で近づいて来たこの男が持っている雰囲気のせいかもしれない。それとも、雫と玲様に会った直後のせいかもしれない。


普通に知り合いのように私に付いてくるこの男を、私は拒否しなかった。


「自分で行けば?」


笑い交じりにそう言えば、不機嫌そうに顔を顰める。


「嫌だ。」

プイ、とそっぽを向くこの男が少し、可愛いと思ってしまうくらいには、私はこの男を受け入れているのかもしれない。



あの日、玲様と雫に学内で会ったあの日。私はとても、ショックを受けた。


玲様の雫しか見ないあの目。従者の人たちの私を蔑んだ目。


なにより……


私を見る、雫の目には、憎しみしかなかった。




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