支配者【完】

追う者 /狩人

side 雫



新婚旅行から帰ってくると、いつもの日常に戻った。だけどそれは、いつものものだと思っても、なんだか違う。


朝、玲を送り出して献立を決め、病気についての本を読み、蒼と散歩に行く。

2週に1度桐生先生が来て、話して、神の妻としての仕事もこなす。

大学に玲と行き、講義を受ける。玲が居ない日は少し寂しい。


いつもの、日常なのに。


少しだけ、世界が晴れやかに見えた。


発作はまだ起こる。だけど、その頻度はとても少なくなり、あの黒い霧を見ることもほぼなくなっていた。


1ヶ月。新婚旅行から帰ってのこの1ヶ月は、なんだかずっと、気分が良かった。


現状はなにも変わらない。私はまだ病気だし、妊娠もしていない。お姉さまのことが気がかりだしなにより、玲の裏の仕事のこともまだ、完全には理解できていないように思う。

だけど、不安に思ったまま日々を過ごしていたあの日々とは違い、私の目はまっすぐに玲の綺麗な金色の眼を見れていた。


そんな日々が続いた、3月に入ろうという時期。


初めに気付いたのは、ちょっとした、違和感。



神の妻として、願いをする人々に会うのが私の役目。彼らの願いを聞き、審判が下されるのを見届ける。


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