支配者【完】

さ迷う彼女 /呑まれる

side 玲



家に帰ってから、雫はますます、部屋にこもるようになってしまった。いや、正確に言えば、屋敷の外に出ない。


「綺麗な街角に色がないのは、なんだか寂しいものですね。」


色が、抜け落ちる、という雫は、そんな光景が見たくないかのように屋敷からあまり出ようとはしない。


しかし、雫は俺の、神の妻で。そのせいで出なければいけない行事が多々ある。


胸が痛むが、俺の妻になればやらなければいけないこと。雫の為だと、見て見ぬふりをするしかない。


結局は俺が、こいつを側におきたいが為の我が儘でしかないのに、だ。



しかし、雫は違うと言う。


「私なりに、頑張ろうと思います。だって、」


その先は必ず、聞けない。

その先の方が気になるのに、だ。


愛している、とか、大好きだとか、最悪少しくらいは好き、でもいい。


俺に好意を持っている、という、雫からの言葉が欲しい。


なんでも望めば手に入った俺が、望むことすら躊躇うなんて、滑稽だ。

しかし何故か、雫にはそうなってしまう。


理由は分かっている。


これまでの自分。京極玲を曝せば、100%良くは思わないだろうからだ。


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