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366日、彼らは笑う。 /2月22日 温泉マークの日 春×華

side 華



「はーな、はな、はな、はな。」

「……私は犬じゃないんですけど。」


人差し指をクイクイ動かして、春さんが少しずつ私に近付いてくる。


ペットを呼ぶような動作にイラついたから怒ってる風を装ってるけど、実は今自分のいるベッドから見える光景に焦っている自分を隠したいだけ。


「可愛いから犬でもいいけどね。あ、でも犬とはちょっと、無理だな、アレが。」

「アレとはなんですかアレとは。」


パンツ1枚でにこやかに私に迫るイケメン。もちろん目のやり場に困る。



「聞きたい?詳しく説明してあげてもいいけど。実技も含めた感じで。」


「結構です。」



変態親父よろしく、パンツ1枚で両手の指をワキワキと動かしているその様は、新城コーポレーションの社員たちの前に堂々と立っているあのスーツ姿の素敵な人とは似ても似つかないと思う。



「いいじゃん。華、昨日寝ちゃったし。」


「……疲れてたんです。春さんが帰ってくるの遅かったし。」


「別に寝ててもいいんだよ。勝手に襲うし。だけど全然起きないのがだめ、って言ってんの。」

「いやいや、勝手に襲うのはやめてください!」


腰に手を置いて口を尖らせている春さんは、いちいち残念な人だ。


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