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366日、彼らは笑う。 /3月3日 耳の日 奏×ゆいか

side 奏


情事後、汗ばむゆいかの胸元に口づけ、自分もゆいかの隣に倒れこんだ。


いくら鍛えているとしても、ゆいかを前にすれば全ての体力を使い果たしてしまうらしい。こんな状態だと突然誰かが襲ってきた時、対処できるかどうか。


なにをやってんだ。昔の俺が冷笑する。しかしゆいかを前にすれば、それらの葛藤や危機感は全て吹っ飛び、このつかの間の疲れを最高とさえ感じてしまう。


「ねぇ、」

「あ?」


気だるさを癒すように、タバコに火を点けて煙を吐き出す。そんな俺を見上げるゆいかの潤んだ唇に、我を忘れかぶりつきたくなる。


苦笑して、それを止めるようにタバコをくわえた。くゆる煙越しに見れば、この昂る欲情を抑えられやしないかと考えたわけだ。



「今日って、耳の日って知ってた?」

「っっ、」


それなのに、ゆいかの細い指先が俺の耳をそっと撫でる。ゾワリと湧き上がるのは快感。女のように身を震わせ、ゆいかの誘いに唇を濡らした。


「っっ、ひな祭りとかじゃねえのか?」


これ以上ヤるとゆいかが足腰立たなくなるかもしれねえ。話題を何とか逸らそうとそう言ってさりげなくゆいかの指先から逃げた。




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