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366日、彼らは笑う。 /3月7日 十日(ととせ)祝いの日 ゆいか×奏×秋




ゆ「秋ももう、二分の一成人式なのね。」


奏「なんだそれ。」


秋「父さん知らないの?十歳は二十歳の半分だから二分の一成人式をするんだよ。学校で発表するんだ。」


ゆ「夢とか、両親への感謝の言葉を言うんですって。」


奏「夢、か。秋は何を言うんだ。」


秋「俺?パティシエになりたいって。」


ゆ・奏「「……。」」


秋「だって甘い物食い放題じゃね?」


ゆ「まぁ、そうかもしれないけれど……。」


奏「お前には無理だ。」


秋「なんで!」


奏「お前が堅気になろうってんならそうさしてやるけどな、パティシエっつうのはある才能がいるって聞いてるぞ。」

ゆ「そ、奏!」


秋「どんな才能?」


奏「……美的感覚だ。見た目の美しさはもちろん、絵もうまく描けるくらい器用でなくちゃならねえ。」



秋「っっ、」


ゆ「絵は、練習すれば、大丈夫じゃない?ね、奏?」


奏「それは、断言できねえな。」


秋「っっ、うう、」


ゆ「練習、しても、私はだめだった、ものね。」


奏「ゆいかの絵は味があるっつうんだ。うまいとかの問題じゃねぇ。」


秋「俺、諦める。絵なんてうまくかける自信がないし。」

ゆ「……。」


奏「懸命だな。」




ゆいかの唯一の欠点を、長男が継いでいるようで。それがなければ秋はもしかして、不愛想なパティシエになっていたかも?





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