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366日、彼らは笑う。 /3月14日 ホワイトデー 郁×いろは

side いろは



最近、郁の様子がおかしい。



「郁?さっきいろはちゃんを迎えに行ったけど。つか一人で来ていいの?怒られるぜ~。」

「……先輩は部活行かなくていいんですか?」

「わ、痛いとこつくなー。ちょっとパン休憩だから内緒な!」

「……失礼します。」

「スルー?スルーなの?」



息吹先輩に礼をして郁を追いかけるため、踵を返した。


「いろはちゃんって!おーい!」


おかしいな。ここから私の教室までは一本道なのに。それなのに郁に会えなかった。


放課後に廊下を1人で歩くのは初めてかもしれない。部活着に着替えた人、下駄箱に向かっている人、話し込んでいる人。改めて見てみるとなんだか違う景色に見えてしまう。


それはきっと、隣に郁がいないから。放課後を知らせるチャイムが鳴れば教室で郁を待って、郁が来たら話しながら家に帰る。


夢中で話してればいつの間にか家に着いていて、放課後みんなが何をしていたかなんて思い出せない。それだけ自分が郁しか見えていなかったことに、今更ながら気付かされてしまう。


だけど最近、郁の迎えが少し遅い。初めはホームルームが長引いているのかと気にしていなかったけど……今日は更にいつもより遅かった。



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