366

366日、彼らは笑う。 /5月5日 熱中症対策の日 弘人×咲

side 咲




ウチのコーヒーショップの朝は、とても早い。


モーニングを食べに来てくださるお客様は結構多くて、その下準備が大変だから。


だけど私は、朝から嗅ぐ挽きたてのコーヒー豆の香りが大好き。



最高のコーヒーを、お客様に。それが私の目標だ。


だけど一つだけ。私には苦手なことがある。


そう、夏だ。


「あつ、」


早朝だというのに、夏の暑さは容赦なく私を襲う。コーヒー豆は、暑さに弱い。そこは私と同じ。


コーヒー豆たちと専用の冷蔵庫で一緒に寝ていたいほど、私は暑いのが苦手だった。


この日は特に、暑くて。開店作業をする間も、汗が噴き出て仕方ない。

おかしいな。冷房を入れているのに。ちっとも涼しくならない。



これじゃ、コーヒー豆にも影響してしまいそうだ。



暑い店内を足を引きずりながら歩いて、エアコンの前に立った。


手をかざすと、弱弱しい冷気が出ている。一応、動いてはいるけど……

明らかにこれは、エアコンの役割を果たしていない。



汗が頬を流れて、気持ち悪さを払うように肩口でそれをぬぐう。



0
  • しおりをはさむ
  • 5984
  • 10932
/ 693ページ
このページを編集する