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奏とゆいか /隼人の苦悩

side 隼人



ここは、とある組。


「あれは?」

「松井組(まつい)ですかい?あそこの若なら知っていやす。」


そしてその組の組長が本来座るべき場所に胡坐をかいて、鉄となにやら真剣な話をしているのはうちの若頭様だ。


「牧瀬(まきせ)が確か、土地を持っていたな。」

「……それはちょっと、規模がでかすぎでは?」


うんうん。この組の組長が奏くんの前で土下座をしているとしても、気にもしない。そりゃそうだ。こんな小事よりきっと、奏には未来に向けた大きな展望ってやつがあるんだろうからね。


「なんでだ。大きければ大きいほど、あいつに相応しいと思わないのか?」

「……若姐さんがそれでよしとするならいいですがね。」

「うん、分かってたし。」


奏がまじめに組の仕事をしてると思ってた俺が馬鹿だった。いやこれはそういうことじゃなくて、一瞬の気の緩みでそう思っちゃっただけだし。


分かってたしね。うん。


「お返しっつうもんはでかいほどいいだろっ?」

「ガハッ、」


組長の趣味なのかダサいデザインのひじ掛けを奏が投げて。それを見事に食らったこの男。


うちの傘下の組の組長なんだけど、少しお痛をやっちゃった馬鹿野郎だ。


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